中長期的な投資学

中長期投資家による分析や銘柄研究

株をやっていると、モノの値段が信用できなくなる

自分は投資をしているのですが、株をしているとつくづく「株価」というものが信用できなくなります。

 

いや、株価に限らずモノの「値段」というものがどこかあいまいな不確実性のものであると思ってしまいます。

 

投資家に限らず、一般の人も「株価」に何か大きな意味があるのではないかと考えてしまいます。

 

日経平均が上がると景気が良くなりそうだ。下がるとアベノミクスは失敗かと。

 

僕も偉そうなことを書いていますが、そう思うことがどうしてもあります。

 

しかし、そもそもモノの値段というのはやっぱりいい加減だなと思うのです。

 

例1

これはドル円チャートです。

http://blog-imgs-64.fc2.com/c/e/n/centralshoji/20140516154729bae.jpg

 

アベノミクス後、1ドル80円だった円高は100円台へと急落しました。

 

これをきっかけに、死体になりかけの輸出企業が復活し、日経平均は上がりました。

 

さて、ここで疑問に思うことがあります。

 

もしも、円が日本の国力を反映するなら、急激に日本は国力が変わったはずですが、実際はどうなのでしょうか。

 

この短期間で本当に日本は変わったのでしょうか。

 

いいえ。日本の国力は対して変わってないのに、円の値段だけ変わったのです。

 

例2

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悪いたとえですが、麻薬の密売者がいたとしましょう。

 

密売者は最初麻薬を破格の値段で売っていました。

 

(麻薬のことはわからないから、1g100円と適当な値段にします。)

 

麻薬常習犯は、喜んでそれを買いました。

 

しかし、密売者はさらに利益を上げたいと麻薬の値段を1g200円にしました。

 

さて、ここで麻薬常習犯はこの値上げに激怒して、「もう麻薬はやらない」「高すぎるから買わない」と思えるのでしょうか。

 

実際は麻薬の値段を1g1000円にしても、麻薬は売れるでしょう。

 

それだけ麻薬を欲しているからです。借金すらするでしょう。

 

このとき、麻薬の価格というものに、はたして意味があるのでしょうか。

 

例3

http://www.pizza-la.co.jp/ItemImage/600x416/0002331.jpg

 

コーラの日本での価格は130円くらいです。

 

それを500円で売ろうとします。

 

売れるのでしょうか。

 

ふつうは売れません。

 

しかし、もしも販売相手がアラブの石油王ならどうでしょうか。

 

このクラスの金持ちなら、130円も500円も対して違いは感じないのではないでしょうか。

 

「ちょっと高いけどいいよ。」ってなると思うのです。

 

逆に、100円すら持っていない5歳くらいの子供や貧しい国出身の人には、日本のコーラはとても高く見えるでしょう。

 

このように、どうも価格というのはあいまいな感じがするのです。

 

僕には何が価格を決定するのかはよくわかりませんが、おそらく「神の見えざる手」が価格を決めるのでしょう。

 

これが「相場」というやつです。

 

しかし、それは長い時間をかけてようやく決まるものなのでしょうね。

 

コーラが130円というのも、世界で初めてコーラを販売してから数十年の時間がたってからようやく決定されたもので、たぶんもっと安い時期もあれば高い時期もあったと思うのです。

 

けど、よく考えてく見ると、コーラは値段が上がろうが下がろうが、「コーラ分の価値」しかないのです。

 

コーラの価値というのは具体的にはわかりませんが、コーラを買う人がいるからには価値はあるわけです。しかし、どれだけ価格が上がろうと下がろうとコーラの価値はコーラ分しかありません。

 

仮に短期的には「たまたま」石油王がたくさん買いに来て、コーラが500円・700円と売れても、長期的には「神の見えざる手」により130円に戻るでしょう。

 

それと同様、株価もどんなに株価が上がろうが下がろうが、企業分の価値しかない。

 

実際、投資の世界ではアラブの石油王級の金持ちもいれば、貧乏な人もいてそれぞれが取引をしています。コーラのたとえに近い世界です。

 

しかし、たとえば、トヨタ株が上がろうが下がろうが、本質的なトヨタの価値は変わらないはずなのです。

 

ていうか、あらゆるビジネスの中で、モノの値段だけ見て、議論をするのはたぶん投資家くらいなのかもしれません。

 

他のビジネスは、モノの値段よりも製品の品質や需要があるのかを調査したりするのです。

 

けど、投資家はこういうのは無視しがちです。

 

ところで、この本質的な価値というものに着目して、利益を上げるのがバフェットを代表する長期投資家なのでしょう。

 

株価はいい加減だという前提で、暴落した株価を拾って利益を出すスタイルです。

 

また、敏腕トレーダーの投資手法を見ると、株価を見て判断しているというよりは、株価から投資家心理や傾向を判断し、トレードしているというスタイルが主流な気がしなくもないです。

 

この記事で何が言いたいのかというと、別に特に主張したいことはないのですが、ふと思ったことを書いてみました。

 

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