配当PERレシオという指標
僕は主にディフェンシブ株が好きで、そのような銘柄をよく投資します。投資しているうちに、自分なりの投資基準がだんだんと確立していったのですが、その中で僕が重視しているものは2つあります。
①PER
②配当利回り
この2点です。
この2つを重視する理由をまず説明します。
PERを重視する理由
PERは多くの投資家がチェックしている指標だと思います。PERは利益を基準にして、今の株価が安いのか高いのかを示しているからです。
配当利回りを重視する理由
理論上はPERだけチェックすれば何の問題もありません。しかし、現実的には投資家は配当利回りもチェックしていると僕は考えています。というのも、投資はどうしても不確実性が付きまとうので、万が一何らかの暴落があっても、最悪配当をいただけるという選択肢はないよりは有るほうがいいと思うからです。
また、配当利回りが良ければ、当然長期投資家も好んで投資してくれますので、結果的に株価は安定しやすいと思います。
これらは自分なりの投資活動を通して考え付いたものです。特にディフェンシブ株ならおそらく有効だと思います。
PERと配当利回りをくっつけてみた
以前の僕は、PERと配当利回りを見比べて、”感覚的に”銘柄の安さを検討していました。例えば、「ある銘柄はPERは15、配当利回りは1.9%。まぁ、安いかなw」みたいな感じです。これも悪くはないのですが、もっと厳密にできないものかと考えた結果、作った指標が配当PERレシオでした。
式はこうです。
配当利回り×100÷PER
配当利回りに100をかけるのは、%をなくすためなので深い意味はありません。
分数にするとこうなります。
しかし、これではどういう意味があるのかがわかりません。
そこで、本来の配当利回りとPERの式を思い出します。
配当利回り=配当金/株価÷100
PER=純利益/株価
これを式に当てはめて単純化してみると、結局こうなります。
配当PERレシオが示す値が高いほど、その株は安いことを示します。では、この公式から考えたとき、どうすれば株は安くなるのでしょうか。
ヒント1
配当金を増やせばいい
配当金が増える、つまり株主還元を強化すれば、指標が高くなることが数式からわかります。
ヒント2
純利益を増やせばいい
そもそも、企業が純利益をしっかり出していれば、その株の価値は相対的に下がるので、指標が高くなります。
ヒント3
株価が下がればいい
あまりうれしいことではありませんが、株価が下がると、指標の数字が上がります。
いずれも、数式に代入してみれば明らかなことばかりです。
つまり、この数字が高い株は、上記のいずれかの可能性があり、投資先としては魅力的になってきます。(もちろん、ほかの可能性もありますが、ここでは割愛します。)
では、実際に数字を出してみましょう。
まず、日本経済の指標ともいえる、日経平均をこの指標で数字にしてみましょう。
仮に日経平均が現在こうなっているとします。
日経平均のperは、17
日経平均の配当利回りは1.59%
この数字を配当PERレシオの式に代入すると、
1.59✖100÷17=9.35...となりました。
そして、仮にですが、トヨタが現在こうなっているとします。
トヨタのperは、15
トヨタの配当利回りは1.40%
この数字を配当PERレシオの式に代入すると、
1.40✖100÷15=9.33...となりました。
わずかですが、トヨタ株は日経平均より高いことが分かりました。日経とトヨタの指標を見比べるだけだと、分かりにくかったですが、この公式を使えば厳密に分かるのです。
実際の運用
僕の個人的な使い方ですが、日経平均の配当PERレシオを算出し、それと投資先の銘柄の配当PERレシオを算出し、両者を比べます。もしも、日経よりも安いことが分かれば、投資先として検討するのです。
さらに、その銘柄が配当や純利益を安定的に出せる銘柄だと判明した場合、この銘柄はこれから上がるかも?と考えていきます。なぜなら、日経よりも割安で安定度が高い銘柄はたいてい買われるはずだからです。
よって、配当PERレシオは、安定的な利益を出すディフェンシブ株との相性はよく、今も愛用しています。逆にモメンタム株(急上昇株)などには、この指標はあまり役に立たないと思いますので、注意が必要です。
この指標は、純利益と株主還元という投資家が気になりがちな部分をミックスしたところがミソと言えるでしょう。